2017-07-02 火山列島採集調査(3)南硫黄島 & 北硫黄島 〜 あっ、金田更新してる

夕方に硫黄島を発ち、朝方 南硫黄島に到着。
遠くから段々と島が大きくなる様子を見たかったが、早朝に起きたら既に到着してしまっていた。

海上はうねりが大きく、時折 大粒の雨が一面を叩きつける。
916mの山頂は雲に隠れ、いまだ全貌を見せようとしない。

沿岸と三ツ星岩で1本ずつ潜った後、波打ち際に上陸し、タモ網でアミキカイウツボ属の1種を採集した。
このウツボは正体が不明だったが今回の調査でようやく判明。
ウツボの専門家である九大のHBN君に筆頭著者になってもらい、今後論文としてまとめる予定だ。

夕方になってようやくうねりも落ち着いて来た。
調査隊メンバー全員で、南硫黄島をバックに記念撮影。

硫黄島の調査と南硫黄島の調査は一日ずつ
この後 夜になってから北硫黄島へ出航した。

西側から見た北硫黄島。 この島には戦時中まで村が二つあり、人が住んでいた。
実際に島を見て、ここに人が住んでいたことがとても信じられない‥‥。

北側から見た北硫黄島。

南側から見た北硫黄島。

昼間の調査を終え、船上で晩メシの準備。
北硫黄島は二日間の調査予定。

船上から水平線に沈む夕陽を見る。
今晩はこのまま北硫黄島の横で船中泊。
写真 D3X + AF-S Nikkor 14-24mm F2.8G
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2017-06-18 火山列島採集調査(2)硫黄島〜ニートの日々から脱ニートの日へ

5月下旬、3代目おがさわら丸に乗ってまずは父島へ。
梅雨の終わりにあたるため、連日の土砂降り。ついには父島に土砂災害警報が出たほど。
海況も悪く、一時は調査の中止も話に上がるほどだった。
そして父島待機=ニート生活もとうとう10日間に‥‥。
これ以上日程をずらすと、あとは調査日数を縮小することになるという段階で、やっと天気が落ち着き(のように見えた)、いよいよ出港となった。
今回は火山列島(北硫黄島・硫黄島・南硫黄島)と西之島沿岸が調査対象で、
北硫黄島・南硫黄島・西之島は波打ち際への上陸許可も得ていた(寝るのは漁船内)。
許可申請の数は多く、下記5申請を多数の機関へ申請した。
(1)文化庁・東京都教育庁・小笠原村教育委員会
(2)環境省・関東地方環境事務所・小笠原村自然保護管事務所
(3)林野庁・関東森林管理局・小笠原総合事務所
(4)国土交通省・日本小型船舶検査機構・小笠原島漁協
(5)東京都産業労働局水産課・小笠原島漁協
その他、海上保安庁2ヶ所と海上自衛隊3ヶ所へも調査の通知を行った。
申請中、西之島が噴火してしまったので、西之島の上陸は中止、帰りに寄るだけとなった。

対象海域のうち、特に南硫黄島は、人為的な影響をほとんど受けていない、原生自然環境保全地域となっており、
外界からの生物の持ち込みおよび外界への生物の持ち出しを厳しく制限している。
船に積載する荷物は、まず自然保護官の立会の元で検疫をした後、世界遺産センター内ダーティールームへ持ち込む。
ここでビニールなどで包み、マイナス20度以下で24時間以上の冷凍処理、あるいはバルサンによる燻蒸処理を行う。
処理済みのものをクリーンルームへ運び、船へ積載するまで保管する。
手前が私たちの調査器材。潜り道具や着替えなども含む。
奥は私たちの後に陸上調査を行う予定の首都大&東京都チームのスペース。
首都大チームは陸上調査なので、私たちよりかなり厳密。
器材はほとんどを新品で用意し、船に乗る時の服もすべて新品で用意。

傭船する漁船。9.7トン、ここに全7名が乗船して5泊6日間、船中泊しながら調査を行う。

ここが船室への入り口。

船室。高さは1mほどだろうか。立ち膝で頭が天井に着く。
ここに私を含む4人が寝て、船長は操舵室の板の上、乗り子は奥の部屋、
ダイビングインストラクターは後部甲板で寝る。

自然保護官の立ち会いで、漁船の検疫。
ネズミやアリ類が入らないよう、数日前から粘着シートなどを仕掛ける。

世界遺産センターから、検疫済みの荷物・器材を積み込む。
さぁ、いよいよ火山列島へ向けて出航。

父島出航から漁船に揺られること18時間、早朝に最初の調査地である硫黄島へ到着。
硫黄島は大シケ‥‥!!
うねりは大きく、叩きつけるような土砂降り。
アネロン(酔い止め)を2錠飲んでも船酔いは収まらず。
一応は酔い止めが効いているのか、吐くことはなかったが、かなりキツかった。
ここ2年ほどは潜りに行く回数も少なく、ブランクが長いことも影響したと思う。
夕方になってやっとうねりが収まったので、初めてカメラを取り出して写真を撮ることができた。
ここが "あの" 擂鉢山だ。
戦没者慰霊にと、日本酒を用意して来たのだが、どのコンテナに入れたか分からず、揺れる甲板で探す気力も起きず。
日本酒は諦めてクーラーに入れておいたビールを二缶、海に撒いて手を合わせた。
調査中の荒れた海は、信じられないような幻想的な光景を見せる時もあり、
ぜひとも写真に収めたいと思いながら見ていたが、どうしても身体が動かず。
結局誰もカメラを取り出すことができなかった。

硫黄島での調査は、監獄岩の東側で一本、擂鉢山の地先で一本、計2本潜った。
砂浜には米軍の船が残骸として今も残っている。

続く。
写真
D3X + AF-S Nikkor 14-24mm F2.8G, AF-S Nikkor 35mm F1.4G
2017-06-14 火山列島採集調査(1)

2010年・豆南諸島(べヨネース列岩・須美寿島・鳥島・孀婦岩)採集調査
2012年・豆南諸島(べヨネース列岩・須美寿島)
に続く、大型調査が終わりました。
この10年のアカハタ研究の集大成になる調査。
ある意味、研究者人生を懸けた調査。
行き先は‥‥火山列島!
南硫黄島(上写真)・硫黄島・北硫黄島の3島を中心に、
北硫黄島の北西にある噴火浅根(頂上が水深14mの海底火山)にも潜り、帰りに西之島へも。
父島の漁船を傭船して、漁船で寝泊まりしながら5泊6日。

硫黄島、擂鉢山。

北硫黄島。ここは二日間。

噴火浅根。

西之島。
溶岩を噴き出しているのが見える。


続報は追々。
写真
D3X + AF-S Nikkor 14-24mm F2.8G, AF-S Micro Nikkor 60mm F2.8G
2017-06-02 こんな夜も君は一人で寝れるのかい お前

梅雨の小笠原から、11ヶ月ぶりの更新。
随分と間が空いてしまったけど、またボチボチと始めます。
(上写真は小笠原ではなく鹿児島の写真)

(1)
2016年12月、約10ヶ月ぶりの魚突き。
熊本でマッコウと合流して鹿児島へ。
キャンプ地にて。一面の気嵐。

こんなに素晴らしい気嵐は初めて見た。
そしてそれが鹿児島でとは‥‥。
毎朝テントから起きるとこの光景。素晴らしい。

初日、約60cmのヒラスズキ。
二日目、約60cmのヒラメ。
二日目夜、マゴチ4個体(約60cm、50cm台、40cm台×2)とクロダイ
三日目、ウェットを破ってしまい潜らず。

年末にかけて美味しい魚に舌鼓を打つことができた。

海は良さそうだったが‥‥。
潜る準備をしている最中にアクシデントが。

哀れなウェット‥‥。
最終日は潜らず。
(2)
2017年3月、神津島の山田さんが死去された。
ある程度は覚悟していたが、本当に残念でならない。
マッコウ、おがりょう、アッキー、はじめから香典を預かり、葬儀に参加するため神津島へ。
松江さん、カイノ潜水の方々と合流し、葬儀に参加した後、山田さんのご自宅へもお邪魔した。
奥さんとは、また島に潜りに来て、ご自宅にも遊びに来ることを約束した。
写真
D3X + AF-S Nikkor 35 mm F1.4G
2016-07-24 キンッキンに冷えてやがる・・・!!

田んぼで捕まえて水槽に入れていたヤゴが羽化していた。
図鑑で調べてシオカラトンボだろうとは思っていたが、オスではなくメスだった。
いわゆるムギワラトンボだ。

夜空は雲に覆われていたが、ちゃんと月齢に合わせて羽化したのには驚いた。
この後、外に逃がした。鳥に食われんなよ!

マクロアポランターはツァイス・マクロプラナーを超える解像力を持ち、色収差もより良く抑えられている。
使用目的がマクロ撮影に限れば、民生用マクロレンズの中では最良のレンズだろう。
この写真も、拡大して見ると、複眼の一つ一つ、繊毛の一本一本がくっきりと解像している。
もちろん、マクロプラナーにはボケ具合などを含めてまた違った魅力がある。

水槽に入れてしばらく経った頃。餌はピンセットから食べるし、動きもあるしで面白かった。
また来年、田んぼに捕りに行こう。

ヤゴが羽化する時用にと木の枝を入れたが、結局ヤゴは一度も登らず。
その代わり、カリフォルニアイモリは大のお気に入りらしく、よく登って木の枝の上で眠っている。
(水槽のガラス面が汚れていて見にくいのは失礼)
おっさんみたいやんけ…。
写真
トンボ目 トンボ科 シオカラトンボ ♀ Orthetrum albistylum speciosum
有尾目 イモリ科 カリフォルニアイモリ Taricha torosa
D3X + Makro Apo-Lanthar 125mm F2.5 SL, AF-S Micro Nikkor 60mm F2.8G
2016-07-11 夏なのにブスよね、アタシたち
2016-06-22 みんな!丸太は持ったな!!行くぞォ!!(アメリカ旅行記-3)

前回・前々回に書き忘れたことを少し。
グランドキャニオンではフェンスがあるのはごく一部で、ほとんど切り立った崖がそのままでそこから風景を見る形だった。
ホースシューベンドなどは一切フェンスがない。
実際、グランドキャニオンでは花が添えられている場所もあったし、今まで何人も落ちて死んでいるとのこと。
落ちて死んでもすべて「自己責任」の一言で済ませるというのはお国柄か。
日本では考えられないが、フェンスのような人工物があると一気に景観が台無しになるし、その方がいいのではないかと思った。
セドナで泊まっていた宿では、たくさんの鳥が餌箱に来ていて毎朝楽しませてもらった。
ハチドリも数種類いた。野生のハチドリを見るのは初めて。
でも鳥の写真はほとんど撮らなかったのが悔やまれる。
セドナではガラガラヘビとツノトカゲを探したが結局見つからなかった。
ただ、逃げられてしまったがクビワトカゲは見つけたで!
あとはウサギやリスがすぐその辺にいるのが楽しかった。

セドナ滞在中のある日、妻が宿の人や同泊の人たちとアロマオイルのショップやワイナリーに行くというので、
私は一人、オーククリークの渓流に水遊びトレイルへ。
後で聞いたところ、実は妻は30分ほどで切り上げて、宿の人たちと別れて私と一緒にどこかへ行きたかったらしいのだが、
私としてはヤッタこれはチャンスと、「ゆっくりしておいで、俺は川に行ってるから」とプラッと出て行ってしまった。すまぬ‥‥。
渓流で魚やザリガニと戯れ、薮でトカゲを追いかけ、池でふくらはぎまで泥に浸かってオタマジャクシをすくい、
「やっぱオタマジャクシじゃ日本のカエルと区別付かねーし、何の種類か分かんねーな」と呟いていた時、私はふと思ったのだ。
「ついつい忘れがちになるけど、新婚旅行なんだよな。」
「俺は一体何をやっているんだ‥‥。今すぐ妻のもとへ行くべきなんじゃないか!?」
ただ、だからといって私が今すぐ準備をしてアロマオイルのショップに行くのと、
妻たちが買い物を終えて私のいるトレイルヘッドに来るのは同じ時間になりそうだし、
まぁこのまま待つのが一番だなと、再び手のひらにすくったオタマジャクシに目を移したのであった。

帰国して数日後、科博のエレベーター内で地学研究部の矢部さんと会った際のやり取り。
「おっ、何か久しぶりですね。どこか行ってました?」
「新婚旅行でアメリカに行ってました。グランドキャニオンとか。」
「おおっ!化石を撮りに?」
「いえ(笑)、生き物を見に。」
グランドキャニオンと聞いての第一声が「化石を撮りに?」というところがさすが(笑)。

グランドキャニオンのビジターセンターに行った際に、ナショナルジオグラフィックのパークプロファイルを購入したのだが、
帰国後、写真を整理していて驚いた。
上の左写真は私が撮ったもので、一切トリミングしていない。
右のナショナルジオグラフィックの表紙と比べてみてほしい。
同じ場所・同じ構図で、(朝陽の当たり方から推察するに)同じ季節・同じ時刻で撮っていたのだ(ちなみに朝4時半過ぎ)。
広角レンズで全体像を撮ったものや、何か特徴的な岩があってそれを撮ったものというなら分かるが、
ポイントとしては有名だが特に特徴的な構造物があるわけでもない、だだっ広い風景。
その一角を100ミリの中望遠レンズで撮ったものだからね。
今回の旅行の手配は妻に丸投げ状態だったので下調べもしていないし、なるべく予備知識を入れないよう現地の写真もほとんど見ていなかった。
パークプロファイルを購入したのも写真を撮った後。
一致に気付いたのは帰国してしばらくしてから。
天下のナショジオの表紙だぜ?
いやー、俺ってやるなぁ‥‥。
終わり。
写真
D3X + AF-S Nikkor 14-24mm F2.8G, Makro-Planar T* 2/100 ZF
2016-06-20 忍耐をする変態(アメリカ旅行記-2)

前回の続き。
アンテロープキャニオン(アッパー) Upper Antelope Canyon(1)

アンテロープキャニオン(アッパー)(2)

アッパーの入口(左)と出口(右)

アンテロープキャニオン(ロウアー) Lower Antelope Canyon(1)

アンテロープキャニオン(ロウアー)(2)

アンテロープキャニオン(ロウアー)(3)

アンテロープキャニオン(ロウアー)(4)

アンテロープキャニオン(ロウアー)(5)

アンテロープキャニオン(ロウアー)(6)

ロウアーの入口(左)と出口(右)
アンテロープはアッパーとロウアー両方行った。
アッパーは、広く・暗く・人気が高く、観光客が多い。
ロウアーは、狭く・明るく・人気が低く、観光客が少ないが、圧倒的にアッパーより面白かった。
D3Xは高感度に強くないのでアッパーは撮りにくかったな。
どちらかしか行けないのであれば、絶対にロウアーをお勧めする。

ホースシューベンド Horseshoe Bend(1)

ホースシューベンド(2)

ホースシューベンド(3)
ホースシューベンドは実はあまり期待していなかったが、実際に見たらそのスケールの大きさ・迫力に圧倒された。
そこにあるものは写真の通りなんだけど、写真で見るのと実物を見るのではこんなに違うのかと驚いた。

フェイキャニオンの星空 Starry sky over the Fay Canyon(1)

フェイキャニオンの星空(2)

ボイントンキャニオンの星空 Starry sky over the Boynton Canyon(1)

ボイントンキャニオンの星空(2)

ボイントンキャニオンの星空(3)

エアポートメサ Airport Mesa(1)

エアポートメサ(2)

エアポートメサ(3)

オーククリーク Oak Creek(1)
前回の記事に載せたところは別の場所。
アメリカザリガニの幼体がいて、ああ本来の場所にいる姿がこれか、と思ったが、所詮アメリカザリガニ。特に感動はせず。
でも魚もチラホラ見え、岸沿いの薮にはトカゲ(Aspidoscelis uniparens)が無数に走り回り、水も空気も綺麗でいいところだった。

オーククリーク(2)

オーククリーク(3)

カテドラルロック Cathedral Rock(1)

カテドラルロック(2)

カテドラルロック(3)
今回の旅行中、初めての曇り空。
だが、何とか夕陽を見ることができた。

カテドラルロック(4)
私たちがカテドラルロックの頂上で夕陽を見ている頃、遠くベルロックの向こうで雷鳴が轟き、稲妻が光り始めた。
あれよあれよという間に暗くなり、雷雲が近づいてくる。
私たちが山を下りる頃には真っ暗となり、車に乗って数分も経たないうちに稲妻が光りまくり、辺り一帯は暴風雨に。
快晴のセドナも良いが、最後に見た荒れ狂う嵐のセドナも素晴らしかった。
あと一回続く。
写真
D3X + AF-S Nikkor 14-24mm F2.8G, Distagon T* 2/35 ZF, Makro-Planar T* 2/100 ZF