たゆたえど沈まず

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栗岩

管理人  [ 栗岩 ]

国立科学博物館・博士研究員
(兼)
神奈川県立 生命の星・地球博物館
博士研究員(外来研究員)

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(ほったらかし中)
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mail: spearfishing (アット) ab.auone-net.jp

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        2015-05-09       すまぬで済んだら丸太は要らねぇんだよ

火山列島(北硫黄島・硫黄島・南硫黄島)

小笠原水産センターでお世話になっている人から連絡があり、北硫黄島で捕れたアカハタが3個体届いた。
もちろん研究用資料としてだ。

伊豆–小笠原弧上の島嶼群は、北から順に伊豆諸島・豆南諸島・小笠原群島・火山列島となる。
伊豆諸島はまだいくつか「行ってみたいが行っていない」無人島・群礁があるが、
べヨネース列岩・須美寿島・鳥島・孀婦岩からなる豆南諸島には2回行ってすべて潜り、
聟島列島・父島列島・母島列島からなる小笠原群島は、母島回りがまだ一部潜っていない場所があるものの、聟島回りと父島回りはほぼすべて潜った。

そしてさらにその南にある火山列島は、北硫黄島・硫黄島・南硫黄島からなる。
硫黄島は言うまでもなく太平洋戦争の激戦地で、映画「硫黄島からの手紙」の舞台にもなり、現在は自衛隊の基地がある。
北硫黄島と南硫黄島は絶海の無人島で、3島すべて許可無しで渡航することはできない。
この海域への渡航は、すでに何年も前からツテがあり、豆南諸島調査で申請の実績もあるので、研究費と時間さえ得られれば行くことができるだろう。
具体的に「いつ」とは言えないが、将来行きたい場所の一つだ。

アカハタ・北硫黄島産 Epinephelus fasciatus

北硫黄島産のアカハタ。
日本周辺海域を中心に、西部太平洋のあちこちから研究材料として1,000個体以上のアカハタを確保した私は、
見た目だけでおよそどの辺りから捕れたアカハタか当てることができる。
もちろん外れることもあるが、少なくとも小笠原か、本州〜九州か、沖縄〜東南アジアか、この3海域は結構な確率で当てられるかな。

小笠原のアカハタはオレンジ色から黄色みが強く、体側の白班も強め。
深い場所から捕れるとより鮮やかな傾向があるが、北硫黄島で捕れたアカハタは非常に黄色みが強い。
上の写真は尾鰭の軟条が識別できるようにやや暗めにしてあり、実際はもっと明るい黄色だ。
(右と下の個体で眼球が大きく張り出しているのは、深場から捕れたため)

写真
スズキ目 ハタ科 アカハタ Epinephelus fasciatus
D700 + Makro-Planar T* 2/100 ZF
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        2014-04-06       ピースな愛のバイブスで、ポジティブな感じでお願いしまーす

シマハタ Cephalopholis igarashiensis
久しぶりに魚ネタを。
週に二回、水試の人たちが市場へ魚を調達に行っており、
「揚がっていたら競りで落として欲しい」と頼んでいる魚が何種類かある。
先週の木曜に、そのうちの一種シマハタが揚がったと連絡があり、受け取って標本にした。

どぎつい原色をまとうこのシマハタは、豆南諸島・須美寿島で採集された個体をホロタイプとして、
1957年に山口大学の故・片山正夫先生が記載した深海性のハタだ。

Katayama, M., 1957.
Four new species of serranid fishes from Japan.
Japanese Journal of Ichthyology 6: 153-159.

この論文では4種のハタ科魚類(シマハタ、アカハタモドキ、ヒラスズキ、バケスミクイウオ)が記載されている。
これらのうち、前者2種は現在でもそのままハタ科だが、後者2種、ヒラスズキとバケスミクイウオは、それぞれスズキ科とホタルジャコ科になっている。

シマハタは、日本周辺海域では南日本の太平洋岸において深海から稀に釣り上げられることがある。
この個体は八重山諸島から宮古島間の海域で、水深約300mから一本釣りで採集された。
アカハタモドキ Epinephelus retouti
上述の論文でシハマタと同時に記載された深海性のハタ、アカハタモドキも、実は豆南諸島(鳥島)で採集された個体を元に記載された。
(片山先生は E. truncatus として記載し、現在は E. retouti のシノニム)

片山コレクションの標本とともに、片山先生のフィールドノートもご遺族から科博に寄贈されており、それを見る限りでは、
片山先生はご自身では豆南諸島に行っていないのではないかと思う。
どういうことかというと、須美寿島と鳥島で採集を行ったとすれば、他にも多数の標本があって然るべきだが、それが一切ない。
つまり、シマハタとアカハタモドキは、豆南諸島へ漁に出た八丈島の漁師さんから受け取ったものではないのだろうか。
もう今となっては調べようもないが。

ちなみにシマハタもアカハタモドキ(E. truncatus)も、ホロタイプは科博に登録されている。


写真
スズキ目 ハタ科 シマハタ Cephalopholis igarashiensis(八重山諸島産)
D700 + AF-S Micro Nikkor 60mm F2.8G

スズキ目 ハタ科 アカハタモドキ Epinephelus retouti(小笠原群島母島産)
D3 + AF-S Micro Nikkor 60mm F2.8G

        2013-05-23       Deep Sea Fishes

深海魚ってどんな魚

北大の名誉教授である尼岡先生から新刊が届いた(献本)。
「子供から大人まで広く楽しんでもらえるやさしい深海魚の本(前書きより)」で、専門書ではない。
科博で過去3回行われた深海魚ワークショップでの写真や、そこで同定された標本写真が多く載っていて、私が撮ったものも使われている。

オニアンコウ

本の中では尼岡先生自身が撮ったオニアンコウの写真が使われていた。
上写真は私が撮った同一個体の写真。

写真自体はこの写真(つまり私が撮ったもの)の方が断然良い(笑)。
ただ、私は尼岡先生が撮った後に瓶に詰められていたものを撮ったので、エスカ(誘引突起)やアゴヒゲ状の発光器官が曲がってしまっている。

クロヒゲホシエソ

同じくクロヒゲホシエソの写真も、本では尼岡先生自身が撮ったものが使われている。
上写真は私が撮った同一個体の写真。
私が撮ったのは尼岡先生が腹部を解剖した後のようだ。

クヒゲホシエソ

クロヒゲホシエソの頭部アップ。いかにも深海魚という感じ。
クロヒゲホシエソは本の中ではホテイエソ科にされているが、ここではNelson (2006)に従いワニトカゲギス科とした。


写真
アンコウ目 オニアンコウ科 オニアンコウ Linophryne densiramus
ワニトカゲギス目 ワニトカゲギス科 クロヒゲホシエソ Melanostomias tentaculatus

D3 + AF-S Micro Nikkor 60mm F2.8G(1枚目)、Makro-Planar T* 2/100 ZF(2枚目)、AF-S Micro Nikkor 105mm F2.8G(3&4枚目)

        2013-02-06       不知火

シラヌイハタ

去る2月1日に環境省のレッドリストが更新された。
魚類で注目されたのは、「絶滅(EX)」とされていたクニマスの「野生絶滅(EW)」への降格と、
ニホンウナギの「情報不足(DD)」から「絶滅危惧IB(EN)」への変更だ。

それ以外の魚種については特に気にしていなかったのだが、今日の研究室でのミーティングの中で、
私自身が関わった種が、レッドリストへ新規追加されていたとの話が出た。

上写真のハタ科シラヌイハタ。
2007年に行った屋久島採集調査で、日本初記録となる本種を銛で突いて捕り、和名を付けた種だ。
シラヌイはカタカナで書くと間の抜けた感じもしないでもないが、もちろん不知火のことだ。

今のところ日本には3個体の標本しか登録されておらず、すべて科博所蔵になっている。
私自身が捕った1個体と、イソギンポ科を中心としたタイドプールに生息する魚類の生態を研究するため
屋久島に数ヶ月間住み込みで調査していた東京海洋大の村瀬君に送ってもらった2個体だ。

シラヌイハタは西部太平洋域の熱帯・亜熱帯の砂泥底やマングローブの生い茂る河口域に生息し、それまでの北限は台湾。
実際、数年前に台湾にアカハタの採集調査に行った際、南東部の成功(Cheng-gong)や富岡(Fugang) では魚市場でちらほらと挙っているのを見かけた。

私の論文で北限が日本まで更新されたが、日本では今のところ屋久島の2カ所でしか確認されていない。
黒潮に乗って屋久島まで分散あるいは移住して来たのだろうが、おそらく無効分散ではなくすでに定着していると考えられる。

まだ具体的な生息数などは分かっていないからだろう、レッドリストには「情報不足(DD)」のカテゴリで新規追加された。
屋久島以外で生息している可能性があるのは西表島西部くらいだと思う。
シラヌイハタの生息環境は日本にはほとんどなく、当然生息個体数も少ないだろうから、
将来のレッドリストでの該当カテゴリはかなり厳しいものになると予想される。

シラヌイハタ

村瀬君がシラヌイハタを釣り上げた時の写真(上の標本写真の個体)。

写真
スズキ目ハタ科シラヌイハタ Epinephelus bontoides(鹿児島県屋久島)
D3 + AF-S Micro Nikkor 60mm F2.8G(1枚目)
PowerShot A720 IS(2枚目 photo by A. Murase)

        2012-12-15       星を見る者

アオミシマ

高知県御畳瀬にて、底曳網で捕れたミシマオコゼ科のアオミシマ。
英名は "スターゲイザー(Stargazer)"、和訳すると "星を見る者"。

砂泥底で体を砂にうずめ、顔だけあるいは眼だけを出して獲物を待ち伏せする。
眼が上方を向いているので付いた英名だが、獲物を待ち伏せているのではない、星を見ているのだ。
ということなのだろう。何とも風情のある名前だ。

ちなみに学名の elongatus は「伸長した」という意味で、この属の中でも細く伸長したその体型を表している。
種の特徴をよくとらえた名前だと言える。

アオミシマ

全体はこんな感じ。
アオミシマは深いところ(水深50m以深)にいるので銛で突いて捕れる種ではない。
ミシマオコゼ科ではキビレミシマとメガネウオは銛で突いて捕ったことがある。
キビレミシマが一番カッコ良くて好きかなぁ。メガネウオもごつくていいけど。

アオミシマ

頭部の拡大。

頭部をいろんな角度からマジマジと見ていたら、何かこう、ドクロっぽくて、パプアンパイソンを連想した。
特に一枚目の写真のように、頭部を上から見た時。

魚からなぜヘビを!?と思う人もいるかもしれない。
そんな人にはこう答えよう。今、俺の頭ん中はパプアンでいっぱいなんだ。

安西先生…パプアンが…欲しいです…

写真
スズキ目ミシマオコゼ科アオミシマ Xenocephalus elongatus
D3 + AF-S Micro Nikkor 60mm F2.8G, AF-S Micro Nikkor 105mm F2.8G

        2012-11-09       ユニコーンフィッシュ

ツマリテングハギ

南大東島調査で採集した魚の標本処理も残りあと少し。
それらの中からニザダイ科のツマリテングハギを紹介する。

サンゴ礁環境の優占種であるニザダイ科の中には、少しだが温帯種や外洋性の種もおり、テングハギ属(Naso属)の一部が後者にあたる。
テングハギは英名ユニコーンフィッシュ。その名の通り、頭頂部が角状突起になる。

中でも、外洋性種のツマリテングハギやヒメテングハギは突起が非常に長くカッコイイ。
オニテングハギも長くなるのだが、あれは体のデザインがおかしいからダメだ。

ツマリテングハギ

今までツマリテングを見たのは、豆南諸島、小笠原、トカラ列島、南大東島と、すべて外洋の島嶼域。
そのうち突いて捕ったのはトカラ列島小宝島と南大東島での2個体。結構捕るのは難しいのだ。
ヒメテングハギに至っては未だに捕ったことがない。もう少しで捕れそうなんだけど・・・って感じなんだよなぁ。

ツマリテングハギ

一枚目の黒バックの写真は今年の6月に南大東島で採集した個体。
二枚目以降の白バックの写真は2008年10月にトカラ列島小宝島で採集した個体だ。

こうして並べてみると角状突起には個体差があるんだな。
どちらも突起を含めて50cmくらいだが、小宝島の個体はかなり長い。

ツマリテングハギ

角状突起は硬質化しているが、突き刺さるほどではない。
それよりも気を付けなければならないのは、尾丙部にある2対の骨質板だ。
写真で見て分かる通り、前方に向かって鋭く生えているこの骨質板はナイフのように切れるのだ。

小宝島で捕った時、取り込む時にこれでグサッと腕を刺された。
ウェットスーツを余裕で貫通し、腕の肉がざっくり裂けて中の筋が見えていた。もちろんスゲー痛かった。

南大東島で捕った時は注意しながら取り込んだので、無傷だった。
俺って賢い!学習能力、あるね!と油断していたら、その後に同じテングハギ属のトサカハギを捕った時ザックリとやられたけどな・・・。

写真
スズキ目ニザダイ科ツマリテングハギ Naso brevirostris
D3 + AF-S Micro Nikkor 60mm F2.8G(1枚目・南大東島産)
D60 + AF-S DX Nikkor 18-55mm F3.5-5.6G VR(2〜4枚目・小宝島産)

        2012-10-26       ミナミイスズミノナゾ

ミナミイスズミ

青ヶ島・豆南諸島調査で採集した魚の標本処理がすべて終わった。
報告書を作成し、東京都庁・八丈島漁協・日本小型船舶検査機構へ提出し、これで一区切り。
前回2010年の調査と合わせ、これから論文化する予定。

豆南諸島から小笠原にかけて多いのが、現地でササヨと呼ばれるミナミイスズミだ。
伊豆諸島では伊豆大島から八丈島まではほぼ100%が近縁種のイスズミやテンジクイサキだが、
伊豆諸島最南端の青ヶ島に来ると1〜2割くらいミナミイスズミが混じり始め、
豆南諸島最北端のべヨネース列岩ではそれが逆転して8〜9割がミナミイスズミで1〜2割がイスズミ、
須美寿島以南、小笠原ではほぼ100%ミナミイスズミとなる。

ミナミイスズミで最も特徴的なのは、科内でこの種だけに全身黄色個体が出てくることだ。
通常は全身が灰色っぽい(上個体)が、全身真っ黄色の個体(右個体)や頭部のまわりだけ黄色い個体(左個体)もいる。
ただ、それに関して不思議なことが2点ある。

一つは、サイズの小さい個体や幼魚では黄色個体はいない点。
黄色っぽい箇所があったり変な体色の個体は見たことがあるが、鮮やかな黄色の個体は一度もない。

もう一つは、頭部のまわりだけ黄色い個体はいても、体の半分くらいが黄色い個体がいない点。
頭部のまわりは婚姻色が出る部分なので、頭部のまわりは色が変化しやすいのかもしれない。
性転換して体色がガラッと変わるベラ科魚類の場合、体色変化の移行はごく短い期間で行われるため、
ミナミイスズミの場合も同様なのかもしれないが、それでもベラ科魚類は体色変化中の個体は観察されている。
ミナミイスズミでは頭部のまわりだけ先に変わり、後で急激に全身の体色が変わるということなのだろうか?

写真
スズキ目イスズミ科ミナミイスズミ Kyphosus pacifics
(通常個体:孀婦岩,マダラ個体:べヨネース列岩,黄色個体:鳥島)
D3 + AF-S Micro Nikkor 60mm F2.8G

        2012-08-29       メイサァ

メジロザメ属

先週の後半からずっと、サメの同定作業に頭を悩まされている。
豆南諸島で採集したサメは2種が含まれている(と思う)のだが、サメ類の同定には自信がなく、
北大の仲谷先生(サメの専門家)に相談し、メールで指示を仰ぎながら行っている。

Compagno(1984)と吉野&青沼(2000)(魚類検索図鑑)を参照に各計数形質を測定し、
ソフテックス(軟X線写真)も撮って脊椎骨数も調べた。

どうやら片方は最初に私が同定した種で合っているようだが、もう片方がイマイチしっくりこない。
ほとんどの計測値と脊椎骨数はある種を示しているのだが、仲谷先生曰く
「そのある種の典型的な個体と比べると、第一背鰭の形が違うように見える」とのこと。
んでまぁ実際その通りにちょっと形が違うんだよなぁ。
かといってその他に当てはまる種もいないという。

ということで実際の標本を北大に送って見てもらう予定。

写真
メジロザメ目メジロザメ科メジロザメ属の1種(どちらも豆南諸島・鳥島産) Carcharhinus spp.
D3 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

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