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栗岩

管理人  [ 栗岩 ]

国立科学博物館・博士研究員
(兼)
神奈川県立 生命の星・地球博物館
博士研究員(外来研究員)

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        2013-07-24       宇治群島遠征・二日目

念願のクエ!!

宇治群島遠征二日目、一本目の潜りから怒濤の栗岩無双が始まる。

潜り始めてわずか10分、マッコウが98cm・14.5kgのクエを捕って船に上がり、余裕の一服をかまして気持ち悪い笑顔を振りまいている頃、
私は潮流に身を任せて水深10mから20mのラインをゆっくりと流していた。

自己最大の74cmと60cmちょいのスジアラ、そしてアカハタを1個体捕っていた私は、水面にちょこんと頭頂部を覗かせた根にたどり着いた。
根のそばにあるゴロタ岩の周りで40から45cmくらいのフエダイが10匹ほど群れている。
フエダイを突いてもいいが、スジアラもいそうな雰囲気なのでそのまま見ていると、
岩下から小さめのスジアラっぽいシルエットの魚が出てきてスーッと根の方へ逃げて行った。
中層まで潜っていくと、白い唇が見えてきた。スジアラではない、アジアコショウダイだ。
チッ、まぎらわしい!
だが、何がどう転ぶか分からないものだ。これがクエを発見することに繋がったのだから。

アジアコショウダイの下品な唇に苛立たされた私は、何気なく、ふと視線を横に移した。
水深12〜13mほど、根と水中の大きな岩の間の谷底に横たわる、大きなハタ科の魚の姿。
頭部背面から体にかけて太いバンド模様が見える。
キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

クエ 95cm・15kg

岩に隠れてすぐに浮上し、水面で息を整える。
同様に岩に隠れてゆっくりと潜行、手銛のゴムを引いて岩陰からそっと体を乗り出し、谷底を覗き込む。

‥‥いた。
ギョロッと眼球を動かし、私の存在に気付いたようだが、やつが動くより先に私は銛先を脳天めがけて打ち込んだ。

ドンッという手応え。
銛先は目の斜め後ろから口の中に貫通しており、その際に脳をかすめていたようで、ほぼキルショットに近い状態。
何度かバタバタと体を波打たせて逃げようとするも力は弱く、グイグイと手銛を引き寄せて一気に水面に浮上した。

今回の遠征の大本命、クエ! 95cm・15kg!!

いやーやりましたなー

神津島、八丈島、豆南諸島、小笠原、佐渡島、下甑島、そして今回の宇治群島。
ここ数年、調査や遠征で行動を共にすることの多かったマッコウと、
「二人でクエ持って写真撮ろうぜ」と話していたのがやっと実現した。

だが、ドラマはこれだけでは終わらない。
むしろここからが栗岩無双の始まりだったのだ。

クエ 105cm・19kg

クエの興奮冷めやらぬまま、二本目の潜り。
まぁ満足したので、煙草の煙をくゆらせながら全員が海に飛び込んで行くのを見送る。
クーラーボックスから水のペットボトルを取り出し、のどを潤した後、んじゃ俺らも軽く潜るかと、私とマッコウも準備をする。

どこで潜ろうかと周囲を見渡した私の目に入ったのは、少し離れた沖にある根だった。
「あそこに行って下さい」
船が根に向かって近づくと、一つに見えた根は実は二つで、その間が水路のようになっていた。

さっそく飛び込むと、根の周りで数百匹のメジナが群れてカーテンのようになっている。
その周りには50cmほどのツムブリが10匹ほど。
これは回遊魚が来そうだなと思ったが、とりあえずその場では粘らず、まずは根を回ってみることにした。

根と根の間、潮の上側は大きなゴロタ岩が転がり広場のようになっている。
80cmくらいのバラフエダイが10匹ほど、45cmくらいのフエダイが100匹ほど、そして数えきれないくらいのニザダイが乱舞している。
フエダイかバラフエを捕ろうかと思ったが、一匹突いたら散ってしまうかなと踏みとどまる。

でけースジアラいそうだな〜と周囲を見渡したその時、根と根の間の水路に、大きなクエの姿を見つけた。
水深は15m。先ほどのクエとは違い、既に私に気付いている。
なるべく音を立てないようゆっくりと潜行。
クエはこちらを見つつゆっくりと離れようとしているが、徐々にその距離が縮まっていく。
あとワンダッシュで射程に入れるところまで来て、最後の耳抜きをし、手銛のゴムを思い切り引いた。
フィンを蹴って一気に射程に入り、銛を打ち込む。
狙いはもちろん目の斜め後ろ、脳を打ち抜く一撃必殺のキルショットだが、クエも動いていたため背びれの基部に刺さった。

一瞬、時が止まったかのような間の後、ブォンッとものすごい力でクエが走り出す。
水路の先には大きなゴロタ岩の転がる広場、あそこまで走られたら岩穴に入られてしまう。
穴はどれも大きく深そうなので、一旦入られたら人力で引きずり出すのはもう不可能だろう。
ここが勝負だ。手銛のゴムをつかんだまま、立ち泳ぎの状態で全力でキックする。
しかし、大暴れするクエの力の強さは尋常ではない。
何とかその場にとどまるのがやっとで、水面に浮上することなど考えられないほどだった。

7,8秒ほど経ってからだろうか、フッと一瞬クエの力が抜けた。
その隙に手銛のシャフトをつかんで数メートル、いや1mほど浮上する。
すると再び大暴れするクエ。この7,8秒が地獄のように長い。
私の手が手銛のシャフトからフロートラインまで滑るが、何とか持ちこたえる。
そしてまた一瞬の弛緩。私はその隙にまた少しだけ浮上。

私はクエが大暴れする間も力が抜けたその瞬間もずっと全力でキックし続けている。
顔を上げると水面が遠い‥‥。い、息がもたねぇ‥‥。

クエ 105cm・19kg + 95cm・15kg

意識を失いかけたらすぐに手銛を離すよう自覚し、水面を見上げながら必死で浮上する。
実際はサンバ状態になったらそんな判断ができるかどうかは疑問であるし、
サンバを通り越してブラックアウトしてしまったら一巻の終わりだ。
ただ、すぐに手銛を離すぞと自覚しておけば、意識を失うその直前に無意識のうちに体が勝手に動くかもしれない。

そんなことをうっすらと考えながら必死で水面を目指す。
おそらく水深7,8mほどまで浮上した頃だろうか、クエの暴れっぷりが弱まり、浮上スピードがグンッと増した。
あと数m、あと1m、あと少し‥‥

一日でクエ3本!二日で合計クエ4本!

何とか無事に水面にたどり着いた私は、一気にクエを引き上げる。
そして銛先の刺さった背びれ基部を見て愕然とする。
銛先は表皮を突き破った後、身に刺さっているのではなく真横になって皮一枚でもちこたえていたのだった。
これならあれだけ大暴れできるはずだ‥‥。

ともあれ、一息で水面まであげることに成功したクエは、念願のメーターオーバー、105cm・19kg!!
先ほどの95cm・15kgと共に両手に持って写真を撮る。
すげー重い。すげー重いが、この重さ、最高だ。

一人の人間が一日で二匹もクエをあげた話はほとんど聞いたことがないし、
さらには一遠征しかも一日半で4本もクエがあがった話も同様だ。

全体としては、実質6人でクエ4本、スジアラ20数本(MAXはrioさんの捕った約80cm)、
その他もろもろ合計200kgくらいの魚を捕った。

念願だったメーターオーバーのクエを捕り、スジアラの自己記録も更新し、研究用のアカハタも20個体確保し、
まさに最高の遠征、最高の夏休みとなったのだった。

口だけ番長たちには土下座してもらわねーとなぁ(ニヤニヤ

↑ クエを捕ると豪語しつつ捕れなかった二人が、クエを捕った三人に土下座する写真(笑)。


写真
鹿児島県 薩南諸島 宇治群島
スズキ目 ハタ科 クエ Epinephelus bruneus
EOS 5D mark2 + EF 24-105mm F4L

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コメント

ご無沙汰してます!

楽しまれた様子で何よりです!老体に鞭打って3月~11月いっぱい、毎週のようにせっせと「海」に通い続けてます(笑)

いつも楽しみにしてます!多謝!

すごい…

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