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栗岩

管理人  [ 栗岩 ]

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        2012-10-17       トンプソーニ

トンプソンチョウチョウウオ

南大東島で採集した魚の中で、最も白眉なのはこの種かもしれない。
この、斑紋のない茶色一色の地味な魚は、トンプソンチョウチョウウオという外洋性のチョウチョウウオだ。
カスミチョウチョウウオと同じ属(カスミチョウチョウウオ属)だが、頭部形態はかなり異なるという印象を受ける。

中坊(2000)によると、日本(後述)・マリアナ諸島・ハワイ諸島・サモア諸島・ジョンストン島・ライン諸島・ツアモツ諸島などに生息する。
日本では南鳥島・小笠原群島・大東諸島でのみ見られる。
この分布は非常に面白いもので、ハワイ諸島からツアモツ諸島まで赤道を南北にまたがった太平洋プレート中央部の海域と、
遠く離れて太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界の南鳥島・小笠原群島・マリアナ諸島、
そしてなぜかさらに離れて大東諸島に分布するというものだ。

大東諸島の個体群を除けば、Springer (1982) が提唱したPacific Plate Biogeography説における良いケーススタディーになる。
その意味だけでもこの種は興味深いのだが、さらに、おそらく大東諸島の個体群は小笠原群島から黒潮反流に乗って大東諸島へ
分散したと推察されており、日本周辺海域における魚類の多様性形成の変遷を考える上でも非常に興味深い。

南大東島ではトンプソンが常に群れているポイントがあるとのことで、地元のダイビングショップ「ボロジノ・アイランド」の小浜さんの協力を仰いだ。
水深約50〜60mと深いところにいるため、チバを連れて行ってもらって採集(私は素潜りオンリー)。
この水深だと滞在時間は限られてしまうため、採集できたのは5個体。まさに貴重な標本だ。

Springer, 1982

Springer (1982) の別刷り。
別刷り下さいとメールしたら、サイン入りで送ってくれたよウレシー。

写真
スズキ目チョウチョウウオ科トンプソンチョウチョウウオ(南大東島産) Hemitaurichthys thompsoni
D3 + AF-S Micro Nikkor 105mm F2.8G

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コメント

こんばんは、いつも楽しく拝見させていただいております。採集も大変な労力ですがその後の作業も本当に大変でしょうね。私は和歌山県出身ですが今朝のニュースで絶滅種の本を県がまとめたというようなニュースがありドジョウがすでに絶滅と報じておりました。確かに私が遊んだころと比べると谷・川・河口・海岸の周辺環境は大きく変化しております。いろいろな規制で水質は改善されたりしておりますが土と緑の部分の多くがコンクリートに変わってしまいました。串本の海では死滅回遊魚だったロウニンアジがたまにあがるようになり、周参見では九州あたりに分布していた昆虫が採取されているようです。温暖化が言われるようになりどれくらい時間がたつでしょうか?明らかに生態形がかわっていますね。栗岩様たちが研究しているこの時にもどんどん環境は変化しているのでしょうね。過去を知り・今を理解し・未来に残すという事は本当に大切なことと思います。こういう事を考えるためにもこちらのブログは大切な存在です。これからも楽しませていただきます。ちなみにアライグマは夜道で車にはねられる固体が出るほど繁殖しているようです。かなしいことです・・・。

アライグマは30年くらい前から各地で問題になっていますね。
驚くことに歌舞伎町にもいます。

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